備忘録、そのに。
2019.3.4 月曜日
私は昼に改めて病院に行った。今回はちゃんと、赤ちゃんが入る袋が目視できるサイズで、私のお腹の左側に、確認することができた。今や、四方に印をつけるだけで、サイズから5週間と3日目、とすぐにわかる時代である。
2019.3.5 火曜日
悩みに悩んだ結果、ちゃんと彼に面と向かって伝えることにした。もちろん夕方からソワソワしてしまって、仕事なんて手に付かなかったが、これは仕方のないことだった。
ご相談がありまして、数分お時間いただいても…?
彼が会議室に現れたのは18:30頃のこと。
はじめ、言いだすのがかなり難しいと感じた。何と言えばいいのか、分からなかった。妊娠、した。身篭った。違う。いや、そのー…つまり、えっと…言いにくいことなんですけど。あの……
こんな調子で。
妊娠をしまして
この先から、私がどのように伝えたかは忘れた。でも、彼はかなりショックを受けていて、言葉を失っていた。
私から、3つのお願いをした。
1つめ、同意書にサインをすること。
2つめ、かかったお金を折半すること。
3つめ、今まで通りに接してもらうこと。
彼は、ひたすら私に、全て自分の責任だ、申し訳ないと、繰り返した。そう来るだろうとは思っていたが、まさかここまで自責の念に駆られてしまうとは、私の予測不足である。彼は自分に自信がない上に、自分を責めるのが大好きなのだ。忘れてた。
だからこそ、私の意見を尊重してくれた。この選択で大丈夫か、精神的に大丈夫なのか、こんなことを俺が言うのもおかしいけど、と前置きを必ず付けた上で。
どちらの選択をしても、俺は責任を取る
今思い返せば彼らしくて浅い返答だったなあ。産むといったら、責任を取るだなんて、そんな無責任な発言は、はたまた彼らしくて、内心喜びながら絶望する。
付き添いについても、行かないなんて選択肢はない、と言ってくれた。敢えて大事な仕事がある日に合わせたことを伝えたのは余計だったかもしれないが、彼はそんなのどうでもいいと、言ってくれた。この人は、クレーム対応に向いているかもしれないと思った。期待以上の謝罪と、反省の形を私に見せてくれた。
何かあれば何でも言ってほしいと、LINEをきいてくれた。非常に、いやらしくなく、申し訳なさそうに、でも責任感のある雰囲気で。それを嬉しいと思ってしまった瞬間私は、もしかしてこの人のこと、好きになってやいないだろうか?と、ハッとした。
たしかに頑固だし、思った通り自分を責めるけれど、でもだからこそ守ってあげたくなるし、頼りたくもなるような人だと思った。
この人との妊娠を、私は後悔していない。
授かった命には、申し訳ない。
申し訳ないくらい冷静で、悲しい、辛い、寂しい、あるいは罪悪感に見舞われることなく、ひたすらに無感情であることが。
真弓はこう言ってくれた。
でも、それを抱いて景が辛くなるぐらいなら抱かなくていいんだよ。
人は不思議で、辛い思いをするとその分、深みが出るものである。私はこれで、また1つ強くなれることに誇りさえ抱いている。
ごめん。命をひとつ、無駄にしたことは、本当に申し訳ないと思う。でも、私も頑張って生きている。今日も。
そして、僅かな彼への恋心に、多少困惑しているだけ。
追記。
先週の土曜、一緒だった結婚式では、何か態度が少しおかしいことに、彼は気づいていたらしい。気づいていてくれたんだ、というのも、また一つ、私の困惑の要素の1つでもある。
私のことで悩み、頭がいっぱいになって仕舞えばいいのにと、思ってしまっている自分がいる。おかしいな。こんなはずじゃないのに。
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